まずはじめに



@〜魅力的な海水魚〜

このページは海水魚の飼育を始めようと検討している人向けの講座です。

2003年度末に ディズニー映画 ファインディングニモ が日本で公開され、
空前の大ヒットを収めました。
また翌2004年に DVD ファインディングニモ が発売され 300万枚 を超える
セールスを記録したそうです。


カクレクマノミ

映画にでてくる主人公 ニモ は 
カクレクマノミ と言う 熱帯性海水魚です。
主にオーストラリア〜沖縄にかけての太平洋を居住としております。

可愛らしいキャラクターと独特の泳ぎ方、イソギンチャクと共生する興味深い生態
から、 海水魚飼育者(マリンアクアリスト)からは昔から人気が高かった魚です。

映画により今まで一般の人に認知されていなかった魚 カクレクマノミ は一躍
大スターとなりました。
子供から大人まで 
カクレクマノミを飼育したい! と思った人は多いはずです。

実際に海水魚専門店では カクレクマノミ をはじめ海水魚の需要は増えたそうです。
かつて1990年代の中ごろに熱帯魚ブームが起こりました。
私が飼育を始めたのはそのころです。
当時癒し系ペットと注目されましたが、次第に飼育する人が減りました。

では何故減ってしまったのでしょうか?

途中で飽きたという人もいるでしょうが、多くが ”海水魚飼育 は難しい” と思った
からだと思います。
全く知識がない人、もしくは 金魚を飼ったことがある人 が、いきなり飼育を開始しても
失敗します。
ベテランの熱帯魚飼育者さえも失敗するケースは多いのです。

では海水魚飼育は断念した方が良いのでしょうか?

それは一概には言えません。
私個人の意見としては、”海水魚を飼育してみたい!” と思ったのなら飼育してみると
良いとアドバイスします。
しかし、全く知識が無いと確実に失敗しますので、海水魚飼育がどのようなものかを
理解した上で 充実した アクアリウムライフ を過ごしてください。

まず 海水魚と置かれている現状 を説明します。



A〜海水魚と置かれている現状〜

海水魚と淡水魚(熱帯魚)の違いについて・・

海水魚と淡水魚(熱帯魚)は見た目は同じようですが体の機能が違います。
海水魚は浸透圧の関係で海水を常に体内に取り入れることにより正常を保っています。
それに対して淡水魚(熱帯魚)は浸透圧の関係で淡水を体には取り入れません。
つまり体の機能が全くの逆だと言うことです。

海水魚の置かれている現状について・・・

私は某自然保護団体に加入しています。
海水魚を飼育する上で皆さんに考えて頂きたいのは 自然 というキーワードです。

金魚は飼育しても良いが海水魚の飼育は良くない

という言葉を時々耳にします。
それはどういうことなのでしょうか?

金魚は犬や猫とかと同じカテゴリーとしてはペット扱いです。
しかし、海水魚は 鳥などと同じ自然動物と考えられていることからそのような
事が言われます。

一般の人は海水魚は海で見るものであり、狭い水槽で飼育することは良くない
と考える人も多いですが、それはどうでしょうか?

人間は海水魚を毎日のように食べます。
その行為は非難されないのでしょうか?

”生活するうえで魚を食べないと生きていけないから魚を食べて良いのだ”
という人がいますが、人間は魚以外の物を食べて暮らしても十分生活していけます。

また海水魚水槽を病院、老人ホーム、薬局等で時々見かけます。
それは、小さな海である 海水魚水槽 は人間に癒しをもたらし、精神的に良い
効果を与えるからです。
このことは医学的に証明されています。

上記の事から 海水魚飼育は駄目。 海水魚を食べることは良い。
という理論は崩壊します。
つまり、海水魚飼育は 現代のストレス社会には無くてはならないものであるということ
が言えますし、どちらが良くてどちらが悪いということではないのです。

ただ、1つ皆さんに認識して頂きたいのは 海水魚 と言えども大切な命には変わり
ありません。
飼育する上では自分の家族、子供のように大切に飼育してください。
私は海水魚飼育で一番大切なのは 愛情 だと思っています。

では 愛情 とは何なのでしょうか?

人間は愛情が有れば世話もするが、無くなれば当然世話もしなくなります。
つまり、最後まで責任を持つということです。
以上長い話になりましたが、最後までご覧くださり有難うございました。
それでは 実際の飼育方法 について述べていきたいと思います。


B〜海水魚飼育をする上で必要な器具〜

まず皆さんが海水魚を始めるにあたり、一番気になるのが器具だと思います。
器具が無いと何も始まりません。
海水魚を飼育する上で最低限必要な器具は下記です。
器具は熱帯魚、海水魚両用もありますが、中には海水不可の製品があります。
必ず海水で使用可能かを確認しましょう。

用語について:
海水性熱帯魚は海水魚と表記しています。
淡水性熱帯魚は熱帯魚と表記しています。

1:水槽

水槽には様々な大きさ、形状がある

水槽にはアクリル水槽とガラス水槽があり、特徴があります。

アクリル水槽:割れにくく安価である。しかし傷がつきやすい。
ガラス水槽:割れやすくアクリル水槽より高価である。
        しかし傷がつきにくいし透明度が高い。

どちらのタイプを使用しても構いません。
インテリア性を重視するのであれば傷がつきにくいガラス水槽をお勧めします。

大きさは水槽が大きくなればなるほど水質が安定し、飼育しやすいと考えられます。
しかし、大きすぎると水換えの時の管理が大変ですし、費用もかかります。
初心者にお勧めなサイズは60cmサイズです。
この大きさは一般的に普及サイズであり、他の器具等もこのサイズを中心に考えられ
ています。

また30cmキューブ水槽(全辺30cmの水槽)でも良いと思います。
但し、水槽内で飼育可能な魚の種類、サイズ、数はかなり限られます。

ですので、当ホームページでは
60cm水槽が一番のお勧めとしておきます。


2:ヒーター(サーモスタット)

写真はヒーターです

ヒーターとは海水を温める器具です。
海水魚は水温22℃〜28℃程度の暖かい海水の中で生活しています。
日本の冬の気温は東京で0℃程度になる日もあり、当然水温も低いものになります。
日本では10月〜4月ごろまではヒーターが必要です。

ヒーターは 
自動で温度調節するタイプ と 自分で温度設定するタイプ があります。
熱帯魚飼育であれば自動で温度調節するタイプで構いませんが、海水魚飼育では
自分で温度設定するタイプを購入しましょう。

またヒーターは海水を温めることしかできません。
つまり温度はどんどん上昇し続けます。
これでは海水魚飼育はできませんので、温度を調節するサーモスタットと呼ばれる
器具が必要です。
自動で温度を調整するタイプにはサーモスタットの機能がありますので購入する必要が
ありません。
自分で温度を調節するタイプにもサーモスタットの機能がありますので購入する必要が
ありません。
それ以外の製品を購入する場合に必要になります。
私はサーモスタットが付いていない製品は初心者にはお勧めできませんので、内臓され
ている物を購入しましょう。

ヒーター選びが成功するかしないかを決める1つのポイントになります。
海水魚は短時間の間に2℃程度の水温変化でも、白点病と言う海水魚では
恐れられている病気にかかってしまうケースがあります。
それを防ぐためにも、季節の変わり目には徐々に水温を変化させる必要があり、
”自分で温度を調節するタイプ” はそれを可能にします。

ヒーターを暖める容量は下記が一般的です。
30cm水槽クラスで  50w〜 80w
45cm水槽クラスで 100w
60cm水槽クラスで 150w〜200w


3:ライト

左:フレキシブルライト 中央:上部式ライト 右:ブルーホワイトランプ

ライトとは水槽を照明する器具です。
海水魚を飼育する上で絶対に必要な物ではありませんが、
”飼育目的は海水魚を鑑賞する” ですので、必ず購入するものになります。

色々なタイプが販売されていますが、基本的にどれでも構いません。
しかし、海水魚を綺麗に見せる方法と言うのはあります。

海水魚水槽ではブルーとホワイトを組み合わせた
ブルーホワイトランプが一番
綺麗に見えます。

海水の雰囲気を十分に出すことができます。
無脊椎動物を飼育する場合は
 強い光 が必要になり、メタルハライドランプを使用します


4:フィルタ

今後皆さんが飼育していく上で一番悩むのがフィルタです。
フィルタはベテランのアクアリストでも意見が分かれる領域です。
それだけに 
”このフィルタが完全である!” という理論が確立されていません。
ではどのようにすれば良いのか?

私の理論、経験、検査結果から次のフィルタをお勧めします。

”外部式フィルタ”

一般的に外部式フィルタは海水魚飼育に向かないと言われます。
その理由は海水は酸素が溶けにくく密閉された外部式フィルタでは
十分な酸素量が確保できなくなる。
というのが理由です。
しかし、十分なエアレーション等をすればかなり良いフィルタになります。

外部式フィルタと言っても色々な製品が各メーカから発売されていますが、
私が好んで使っているのは エーハイム社 の製品です。

この製品は非常に耐久性があり、また音が静かです。
現在エーハイム社の外部式フィルタを2台使用しています。
5年ほど使用していますが、部品交換はありませんし故障もありません。

それでは一通りフィルタの特徴をまとめておきますので参考にしてください。
ここではナチュラルシステムは説明致しません。

フィルタの特徴

フィルタ方式 長所 短所 価格
底面式フィルタ 比較的ろ過面積は確保される。
音が静かである。
チャネル現象(フィルタのムラ)
がおきやすい。
清掃が非常に大変。
白点病フィルタとも呼ばれる。
初心者にはお勧めできない。
安い
上部式フィルタ 一般のフィルタはろ過面積が
少ないが、海水用は比較的ろ過
面積は確保される。
塩ダレがおきやすい。
清掃がしにくい。
比較的安い
水中フィルタ 音が静かである。 ろ過面積が少ない。 安い
外掛けフィルタ 清掃が容易である。 ろ過面積が少ない。
音が少しうるさい。
安い
外部式フィルタ 清掃がしやすい。
音が静か。
ろ過面積が比較的大きい。
酸素が溶けにくい。 普通
オーバーフロー 清掃がしやすい。
ろ過面積が大きい
音が少しうるさい。 高い



5:海水

海水は大きく分けて2つに分かれます。

左:人工海水インスタントオーシャン 右:市販の天然海水

人工海水(海水成分を分析し自然の海水に近づける為に人工的に作成した海水)
 水に人工海水を溶かすことで使用する。
天然海水(天然の海水を採取してろ過、殺菌した海水)
 そのまま使用できる。

まず、どちらを選べばよいのか?

と迷いますが、基本的に人工海水で構いません。
但し天然海水の方が好ましいというのは事実です。

私がお勧めする人工海水は、海水の溶け具合、魚の状態、値段等から考えた結果、
ナプコリミテッドジャパン インスタントオーシャン がお勧めです。
最近は水道水にも様々な重金属や有害物が含まれており人間には無害でも海水魚に
とっては有害な場合があります。
こうした有害物をと取り除く装置として 
R/Oフィルタという装置があります。
海水魚飼育をするのであれば特に必要な商品ではありません。



6:水温計


左:水銀式 右:デジタル式

水温計は
水銀式デジタル式がありますが、
海水魚飼育する上では温度管理は非常に重要です。
よって温度が 0.1℃単位まで把握できる デジタル式 がお勧めです。
水銀式は金魚、熱帯魚用と考えて、海水魚では使用しないで下さい。

デジタル式水温計の中には、水槽の最高温度、最低温度を記録できるタイプが
あります。
この水温計ですと、水槽の状態が分かりますのでお勧めです。


7:比重計


左:ポインタ式 右:ボーメー式

比重計は、海水の濃度を測る器具です。
自然の海水は、比重が1.020〜1.023程度であり、当然水槽内の比重も
これに合わせてあげる必要があります。
水槽内の海水濃度が正しいかを測定する為に必要です。
比重計には
ポインタ式ボーメー式があります。

ポインタ式ですと正確に測定できますのでお勧めです。


8:テスター

テスターは飼育水を測定する為に必要なキットです。
日常管理について で詳しく記載します。


9:その他必要な物


カルキ抜き剤:

人工海水を混ぜる時に使う水は通常水道水を使います。
しかし水道水の中には
塩素(カルキ)が含まれており、魚に悪影響を与えますので、
カルキ抜き剤と言うのを使用します。
海水を作る時に混ぜることにより、塩素(カルキ)は無害化して直ぐに水道水を
使用できるようになります。
1日水道水を貯め置きするのであれば特に必要がありません。


餌:

魚にもよりますが、通常
人工餌を用います。
初心者が飼育する生態では特に餌付けが必要ないので、人工餌で結構です。


バケツ:
海水を作る時にバケツに作るのが一般的で必要な物となります。


ろ材:

左:プラスチックろ材 右:サンゴ砂

ろ材にはバクテリアと呼ばれる微生物を繁殖、吸着させ有害物を
分解する
生物ろ材と、汚れを物理的にコシ取る物理ろ材がある。

基本的には海水魚用であればどのような物を使っても良いのですが、
サンゴ砂を生物ろ剤としてお勧めします。
ろ剤はフィルタの中に入れておき、水槽の水を綺麗にする為に使用します。
また
プラスチックろ材も物理ろ材として組み合わせて使います。


バクテリア:

左:テストフィッシュに最適なルリスズメダイ 右:市販バクテリア

バクテリアとは一般的にここでは硝化バクテリアの事を指します。
これはろ剤の中に入れることにより生物的に海水を浄化させるものです。
市販されているバクテリアも購入しても構いませんが、
テストフィッシュを使うことにより特に必要な物でもありません。


エアーポンプ:

左:エアーポンプ 右:ディフューザ

エアーポンプは比較的音が大きいのであまり使用しない方が良いでしょう。
外部式フィルタの場合は、エアーポンプが必要なく大変便利な
 ディフューザ を
使いましょう。
ディフューザとは磯のサラシの原理を利用した器具であり、波が岩場に打つ時に
海水に酸素が溶け込む原理を利用した器具です。


その他:

左:魚専用あみ 中央(左):スポイト 中央(右):水換え用ポンプ 右:コケ取りスポンジ

魚専用あみは魚をすくい上げたり、バケツ等から水槽に移動する時に必要になります。
他にも
スポイト水換え用ポンプ、コケ取りスポンジ、デジタルクッキングメータとかもあると便利です。


以上の器具をそろえることにより飼育は可能となります。
後にまた飼育器具のお話します。

では、次の項目
〜器具の設定と魚を入れるまで〜 にお進み下さい。



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