海水魚トラブル解決

淡水性熱帯魚と海水性熱帯魚の飼育を比較することにより海水魚飼育を考えていきましょう。

海水性熱帯魚は淡水性熱帯魚に比べて次の問題点が生じます。



@水質安定まで時間がかかる。

(テストフィッシュ)⇒(安定させる)

淡水魚水槽は一般的に2週間〜1ヶ月で水質が出来上がります。
しかし、海水魚水槽は一般的に1ヶ月〜2ヶ月かかります。

対策方法⇒これは、対策方法はありません。
        じっくり時間をかけて飼育水は作っていくほかはないのです。




A水槽の管理が容易ではない。

(吸着させる)

淡水魚水槽はコケが生えても、コケを食べてくれる魚がいるので問題ないです。
しかし、海水魚水槽ではコケを食べてくれる魚がいません。
シッタカとかの貝はコケを食べてくれますがコケの発生の方が早いです。

対策方法⇒海水魚の嫌なコケは茶色のコケです。
        対策は基本的にコケの種類によって異なってしまいます。
        蛍光灯をつける時間を減らすとか、硝酸塩濃度を低くするとかの対策で
        なんとかなります。 
        コケの養分はりん酸・珪酸塩ですので、吸着剤を用いると効果的です。
        淡水魚専用のコケ発生防止薬は反応を起こす為使用してはいけません。




B日常管理が容易ではない。

活き餌⇒冷凍ブラインシュリンプ⇒人工飼料(慣れさせる)

淡水魚は人工飼料を直ぐに食べてくれる魚が多いです。
海水魚は人工飼料を直ぐに食べてくれなくて、その間は餌付けをする必要があり、
餌をあげるのが面倒です。

対策方法⇒冷凍ブラインシュリンプとあさりをミンチにして徐々に慣らす方法が有効です。
        直ぐに餌を食べてくれる魚もいますが、餌付けに失敗すると魚は☆になります。




C水質検査をすると結果はあまり良くない

(嫌気層)


淡水魚水槽は水質維持が容易です。
しかし、海水魚水槽は硝酸塩濃度が数値的に高くなってしまう。
アンモニウムイオンが気化しにくいので、全て硝酸塩まで分解されてしまう。

対策方法⇒嫌気性バクテリアを繁殖させる事により対処できる。



D病気にかかりやすい

餌の与えすぎ + 過密飼育 ⇒(魚が☆になる)

淡水魚の病気はそれほど重要度が高いものではありません。⇒治療が容易である
しかし、海水魚は治療方法をマスターしないと確実に魚を☆にしてしまいます。

対策方法⇒病気を減らすにはやはり水質安定に心がけることでしょう。
        しかし、海水魚は水質が安定していても病気にかかりやすい傾向にあります。
        例えば、10種類の海水魚が水槽内を泳いでいたとします。
        8種類の魚は平気なのに、2種類だけが病気にかかるという事がよくあります。
        これは、病気に弱い魚種や強い魚種がいるという事であり、
        病気に弱い魚は熟練者でなければ飼育が難しいという事が言えます。
        私の経験では次のように分けることができます。


       病気に強い魚:ミスジリュウキュウスズメダイ、シリキルリスズメダイ、
                 ハタタテハゼ、シマキンチャクフグ


       病気に弱い魚:ハリセンボン、ハコフグ、ハタタテダイ、クマノミ類



E病気の治療は容易ではない

治療方法を示しますが、治療は自己責任でお願い致します。
淡水魚は病気にかかっても治療は比較的容易であり、治癒する可能性が高いです。
しかし海水魚は治療方法が難しく、治癒する可能性も高くないです。

また水槽内に無脊椎動物(エビ、カニ、イソギンチャク、サンゴ等)がいたり、
ライブロックを入れている場合には薬品使用不可です


対策方法⇒病気の種類によって対策を説明します。

        海水魚がよくかかる病気は 5種類程度 です。
        これらをマスターすればほぼ大丈夫です。
        白点病、ウーディニウム病、トリコディナ症、リムフォシスティス、ヒラムシ(寄生虫)です。



白点病:海水魚全体に発生する病気と考えてよい

病気の特徴:体に白い点ができて数日以内に白い点の位置が変わる。
         淡水魚の白点病とは違う原虫であり、海水魚の中で最も恐ろしい病気である。
         治療しないと間違いなく☆になります。
         白い点が変わるのを確認することでリムフォシスティス(後述)との違いが
         分かります。
         治療をしないと白点虫は魚の体からいったん離れた後、細胞分裂により
         数百倍に増えてしまい、浸透圧調整ができなくなり☆になります。
         また伝染力が強く他の魚に移ってしまうので注意が必要である。
         白点病を治療する時、病気の魚だけ隔離して治療しても意味がありません。
         通常海水魚の白点病治療は、硫酸銅や銅イオンを使うのが一般的な方法です。
         
しかし、硫酸銅や銅イオンをつかうと、次の問題点が生じます。

         
@水槽全体を清掃する必要があり、無脊椎の飼育を始めるには水槽をリセットする必要がある。
         
A無脊椎は死んでしまいます。また海水魚も下手すると死にます。
         B銅イオンの濃度が0.5PPM位の濃度で効果がでますので、常に
         銅イオン濃度を銅イオンテスタで測定していかなければならず面倒。

         
しかし硫酸銅や銅イオンの治療効果は高いです。
         リスクを負っても治療したいのであれば、銅イオンと銅イオンテスター(銅イオンの濃度を測定する物)
         を用いて治療を開始するとよい。
         治療方法は添付の説明書を参考する事。

         
次の薬品が市販されています。
         ⇒ザ☆銅イオン 5g×10包 定価2000円
         (5gを50g水槽に溶かすと銅イオン濃度が0.5PPMになります)



(治療する)


銅イオンでの治療方法:

銅イオンを用意する。
このタイプは1包を水に混ぜ、50リットルの海水に投入すると、
ちょうど良い濃度(0.5PPM)になるものです。
ハコフグとか銅イオンに弱いタイプは0.3PPM位にすること。
しかし効果はかなり落ちてしまう。
できれば0.7PPM程度にするのが良いが長期治療を考えると、
0.5PPMが妥当です。
適当な容器に銅イオンの顆粒を移します。
適当な量の水を容器に入れ銅イオンを溶かします。
この時に薬品の扱いには十分注意してください。
銅イオンが完全に溶けたら、水槽に少しずつ移します。
非常にゆっくりのペースで、魚に直接かからないようにすること。
また、ホースなどを使いゆっくりやるのも良い。
サイフォンの原理で行う人もいます。
私は写真の方法で行います。
銅イオンテスターを用意します。
銅イオンテスターとは、銅イオンの濃度を計測するキットで、0.5PPM
(0.3PPM又は0.7PPM)になっているかを確認する物である。
付属の容器に飼育水を規定量入れます。
そして試薬を説明書の通りに入れます。
このタイプは試薬Aを5滴入れた後によく振り、その後に
試薬Bを5滴入れてよく振るとサンプルが出来上がるというもの。
サンプルと比色表を比較して近い色を探します。
近い色の数値を読み取り、銅イオンの濃度と判定します。
しかしながら判別が難しいです。
ベテランの人は経験で行うことが多いです。
銅イオンの濃度は時間と共に下がっていきますので、
2〜3日に1回くらいは測定して下がった濃度分だけ銅イオンを
水槽に追加投入する。
この治療を白点病が完治するまで行います。
白点が消えたからといって治療を辞めてはいけません。
白点が消えても数日間は治療を続けるようにすること。
シストが残ってる可能性があり、途中で治療を辞めると
また復活してしまいます。
基本的には1週間は治療がかかると考えて良いでしょう。
水温を徐々に上げて、白点虫を活発にさせる方法もあります。
基本的には水温は少し上げて治療した方が良いと言われてます。
これは感覚をつかむしかなく、何回かやってるうちに慣れます。


もう1つの治療方法(マラカイトグリーン療法):

治療方法の1つとしてマラカイトグリーンを使う方法があります。
マラカイトグリーンは発ガン性物質であり、取り扱いには注意が必要です。

現在は危険な為、販売中止となっています。
しかし現在はキンコウ物産からマラカイトグリーン液ヒコサンという薬が発売されています。
効果は銅イオン療法より弱いです。

⇒キンコウ物産:マラカイトグリーン液ヒコサン 70ml 定価1380円
  (海水魚に使う場合は20mlを100g水槽に溶かすと経験的に良いそうです。

 
通常は10mlを100g水槽に溶かすのが規定量です。
 
このことは、キンコウ物産埼玉営業所に電話で教えられた方法です。)
 
マラカイトグリーン液ヒコサンを使うと、銅イオンを使った時の問題点@〜Bは
 
生じませんが効果は銅イオンにはかないません。
 
使い方は3日おきに薬剤投与して、5回投与でどんな白点病も完治するそうです。
 
(キンコウ物産埼玉営業所に電話で聞きました。)



ウーディニウム病

病気の特徴:白点病と見分けがしにくい。
         白点病より黄色みを帯びているので区別できる。
         海水が古くなりすぎていたり、高水温になると発生しやすく
         体を物体にこすり付けることにより気づく。

治療方法:
         白点病治療の銅イオン療法、後述する トリコディナ症に行う淡水浴
         (但しトリコディナ治療Fの過程は省略する)をするのが有効である。



トリコディナ症クマノミがよくかかる病気である

トリコディナ症のクマノミ。
薄く白い物が確認できる。


病気の特徴:直ぐに治療を開始しないと数日以内で☆になってしまう病気です。
         治療には原則的に薬品を使う必要がなく、淡水浴をさせることにより治療できます。
         魚の表面に薄い白い物が浮かんできたらトリコディナを疑います。


治療方法:

(トリートメントタンク)
⇒(治療する)

@小型水槽を用意して水道水を入れる。
Aカルキ抜きをする。
Bエアレーションを行う。

Cヒーターを使い温度調整をする。
Dエルバージュ等のスレ傷に効く薬品を色づく程度に入れてあげる(任意)
E病気の魚を入れ、クマノミの場合は幼魚で3分、親で4分程度淡水浴させる。
F水槽から魚を取り出し、平らな上に魚を置き、
 患部に
指のヘラの部分を当て丁寧にこし取る
 
水槽から魚を取り出す時間は極力短く2分以内です。
 また魚を強く押したり、力を入れすぎたりしてはいけません。
G再び淡水浴を3分程度する。
H水槽に魚を戻す(終わり)

       ※淡水に入れる理由は、トリコディナ部分を浸透圧膨張させる為である。
        淡水に入れた後に指のヘラでこし取ることができるのである。
        更に淡水浴をすることにより完全なものになる。
        この治療は1日1回することにより2〜3日以内に治癒する。
        Gの作業で徐々に海水を混ぜた後に水槽に戻しても良い。
        淡水浴は魚が餌を食べている状態で行うのが良い。
        魚は淡水浴により体力を消費するので、餌をすでに食べなくなった魚の回復は
        難しいと考える。




リムフォシスティス:ヤッコ、クマノミ類がよくかかる病気である

病気の特徴:白い点が無数につく。
         
白点病と間違えやすいが、点がずっと動かないことやカリフラワー状に
         
なっていくことにより見分けがつく
         この病気は海水魚の病気としてはあまりあわてる必要のないものである。
         進行は遅く、重度にならなければ命に関わらない。
         口の周りにリムフォができた場合や全体に広がった時は速やかに治療を開始する。
         治療は薬品を特に使わず淡水浴で治る。


治療方法:

(トリートメントタンク⇒(治療する)

治療方法@〜E、G〜Hはトリコディナ症治療と同じである。

Fについてであるが、リムフォはトリコディナより魚に付着する力が強いので、
 爪の部分で丁寧にこし取ります。
 水槽から魚を取り出す時間は極力短く2分以内です。
 また魚を強く押したり、力を入れすぎたりしてはいけません。



ヒラムシ(寄生虫):海水魚全般によく発生する

病気の特徴:白い点とかは認められないが、海水魚が岩などに体を擦りつけている場合は疑う。
         白点病やウーディニウム病の初期段階と勘違いしやすい。
         魚にとっての危険度はそれほど高くないのであわてる必要はない。

治療方法:
         トリコディナ症の淡水浴(但しFの過程は省略する)を行うのが有効である。
         淡水浴により、寄生虫は魚体から離れて死滅する。


病気の危険度が高いのは・・・
トリコディナ症 ウーディニウム病 白点病
※病気の危険度がそれほど高くないのは・・・
ヒラムシ リムフォシスティス

と分類できます。



Fその他のトラブル

・ミズミミズの発生
ろ過層の清掃を怠っていると、水槽のガラス表面に数ミリの細長い生物が大量に付着する。
これはミズミミズと呼ばれる生物である。
海水魚には無害であるので重要視する必要は無いが、ろ過が汚れているサインなので、
フィルタのメンテナンスを行うべきである。

水換えとフィルタのメンテナンスを行うと自然にミズミミズは水槽内から消滅する。



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